2021年3月議会一般質問議会-柳瀬勝彦

学校教育問題
1.医療的ケア児の公立小学校受け入れについて
2.誰一人取り残さない地域の学校づくりについて

まちづくりについて
1.視覚障害者用信号機の運用について

△柳瀬勝彦議員

○議長(菊名裕議員) 通告第6、7番、柳瀬勝彦議員。
〔7番 柳瀬勝彦議員 登壇〕

◆7番(柳瀬勝彦議員) おはようございます。議長より発言のお許しをいただきましたので、通告書に基づきまして、ただいまより一般質問を順次始めさせていただきます。
冒頭に、緊急事態宣言の延長でご苦労されている方々にお見舞い申し上げます。また、新型コロナウイルス感染症対応で行政の皆様、医療の最前線で頑張っていただいている方々に感謝申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきます。
1問目は、学校教育問題として、医療的ケア児の公立小学校受け入れについて伺います。
周産期先進医療の発達により、日本は500グラムで産まれても命が助かる、乳児死亡率が世界最低レベルの国です。一方で、胃ろうやたんの吸引、人工呼吸器といった医療的ケアやデバイスとともに生きる障がい児、医療的ケア児は、国内で約1万8,000人と、ここ10年で2倍に増えています。
医療的ケア児の多くは数か月から1年ほどNICUで過ごし、そこから退院すると、在宅医療に移行します。医療的ケア児を育児する親御さんのうち、母親のほとんどが仕事を辞め、24時間付きっきりで子どもの介護に当たっている現状があります。医療的ケア児とその家族を取り巻く社会環境はいまだに多くの問題がありますが、そもそも医療的ケアというものがどういったものなのか、よく知られていないのが現状です。
2020年に生まれた子どもの数は約87万人と過去最低で、5年連続で100万人を下回り、生まれてくる子どもの数は減り続けています。生まれてくる子どもが減っている一方で、医療的ケア児は増えている。このことは生まれる子どもにおける医療的ケア児の割合が増えているということを意味します。
例えば、知的な遅れがなく、自分で歩くこともできるが、経管栄養のチューブが付いている医療的ケア児は、この分類では障がいがないということになってしまいます。このように、医療的ケア児は既存の障害者支援法の法制度の枠組みに入ることができず、国や自治体の支援を受けることができなかったのです。多くの場合、医療的ケア児は普通の認可保育園には通えません。なぜなら食事を胃に注入したり、呼吸器に酸素を送ったりといった医療的ケアを行う担当者が保育所にいないからです。そのため親が仕事を辞め、24時間子どもに付きっきりにならざるを得ないというケースが非常に多くなっています。
親が就労できないということは、経済的な困窮につながり、また、身体的・精神的な負担の大きさから、両親の離婚など家庭環境が悪化するケースも少なくありません。また、障がいのある子どもの発達を促す療育についても、医療的ケア児の場合、施設に看護師などの医療従事者が必要となり、受入れが難しくなっています。保育園にも療育施設にも通うことが難しい医療的ケア児は、法制度のセーフティネットからこぼれ落ちた存在だったのです。
文部科学省が平成27年に行った調査によりますと、看護師が学校にいない、または常駐できないなどの理由で保護者が医療的ケア児の就学に付き添っているケースは、全国の公立小・中学校で388件に上ります。特別支援学校を含めると、その数はさらに増えます。また、体制が整っていないため、そもそも希望する就学先に通えていないという声も聞こえます。
人工呼吸やたんの吸引など、医療的ケアを必要とする子どもが小学校に通うためには、保護者による終日の付添いが必要です。理由は、通学する際や学校で過ごす際に、万が一のトラブルに備える必要があるとされているからです。しかし、それでは保護者の負担が大き過ぎます。子どもが学校に通うためには、事実上、親のどちらかが付添いのために仕事を辞めなければなりません。
保育園時代は様々な制度を使い、母子分離が実現し、働くことができたとしても、小学校に上がる年齢になると付添い問題が顔を出します。医療的ケア児を育てる家族はそんな悩みを抱えています。
付き添うことが難しいため、小学校に通うことを諦めてしまう家庭もあります。そういった子どもたちは自宅で訪問教育を受けることもあるのですが、多くの場合、1週間に2、3時間ほどの教育時間しかなく、勉強量は足りていません。また、勉強する時間が確保できたとしても、訪問教育では友達と触れ合う機会がありません。
障がいや医療的ケアがあっても、ほかの子どもたちと同じように学校に行き、勉強したり友達をつくりたいという思いは一緒です。一般家庭と同じように子どもは学校に行き、親は望めば働ける、こんな当たり前のことが、医療的ケアがあるということだけでなかなか難しくなっています。
付添いなしで小学校にという事例、既に2016年4月には福井県で始まっておりました。昨年の2020年3月、川崎市を相手取り、医療的ケア児の対応を見直すようにという裁判も行われました。昨年、横浜市は看護師の配置に踏み切りました。お隣の流山市では、市のホームページに、2021年度医療的ケアの必要な児童の保育所入所についての案内があります。また、流山市では、2010年には全国に先駆けて、保護者が働いていて自宅に不在となる小学生を預かる学童保育で、医療職以外は実施を制限されているたんの吸引が必要な児童の受入れを始めて経験を積んでいます。
東京都の教育委員会は、2020年から保護者による終日付添いなしでも都立特別支援学校に通えるようにすることを決めました。今回の決定は、親の付添いなしでも小学校に通えるようにしてほしいという親の要望に都が応えるかたちになりました。
対象となるのは、体が不自由な子どもたちが通う18校です。都は、今回の決定に至るまで、世田谷区や武蔵村山市で終日付添いなしで子どもたちが過ごすモデル事業を始めていました。そこでは看護師が人工呼吸器を操作する研修を行ったり、緊急時の連絡体制を整えるなど、試行錯誤し準備を整えた上で今回の決定に至りました。
これは、医療的ケアが必要な小学生を持つ親にとってすごく明るいニュースです。なぜなら、子どもたちは友達と一緒にいることで、家では見せない表情をするし、発達もしていくからです。子どもが家の中イコール親子だけの関係でなく、社会とつながっていくことは、自立に向けた一歩だからです。
子どもに障がいや医療的ケアがあっても、将来成人したときに自立できるようにしていくのも親や社会の役割だと私は考えます。現状の三郷市の制度では、親子の希望を聞くのは入学の1年前の8月にやっと就学支援委員会で相談ができることになっております。現状では、親が付き添うか、特別支援学校に入学するかの選択肢しかありません。たんの吸引以外には障壁はなく、友達が通う地域の学校への入学を希望している市民もいます。
市としての対応を検討して準備するのに時間が足りずにできないようになっています。これらの問題を解決するために、何年か時間をかける必要があると思います。他市での実施事例も多くありますが、三郷市として医療的ケア児の公立小学校受入れについての考え方を学校教育部長に伺います。
1問目の2として、誰一人として取り残さない地域の学校づくりについて伺います。
「すべての子どもの学習権を保障する」という理念の下、教職員や地域の人たちの協力で設立された大阪市立大空小学校の初代校長で、2015年春、45年間の教職歴をもって退職し、現在は映画「みんなの学校」の上映会とともに、全国各地で講演会を行っており、著書『「みんなの学校」が教えてくれたこと』を刊行された木村泰子先生に、2月11日にオンライン講座をしていただきました。主催は三郷市民会議です。「今こそ地域の学校をすべての子どもの居場所に」というタイトルの講演会でした。
特に、みんなの学校は、子どもが自分の学校をつくる。保護者はサポーターと呼び、子どもの学校をつくる。地域の人が、地域の宝が学ぶ地域の学校を自分がつくる。教職員が自分の働く学校を自分がつくるという考え方です。
自分がつくる自分の学校、全ての人が当事者になるという考え方で学校をつくり、地域の全ての子どもの安全基地と位置づけました。教職員は通常のルールに従って配置されていますが、地域の住民や学生のボランティアだけでなく、保護者らの支援も積極的に受け入れた、地域に開かれた学校として多くの大人たちで見守れる体制をつくっていました。
学校の理念は、「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」であり、不登校はゼロ、唯一のルールは、自分がされて嫌なことは人にしない、言わないというたった1つの約束があり、子どもたちはこの約束を破ると、やり直すためにやり直し部屋(校長室)へ行きます。他の小学校で厄介扱いされていた子どもも、この学校の学びの中で自分の居場所を見つけ、生き生きと成長していきます。また、周りの子どもたちも、そのような子どもたちとの関わりを通じて大きな成長を遂げていきます。
学校を外に開き、教職員と子どもとともに、地域の人々の協力を得て学校運営に当たるほか、特別な支援を必要とされる子どもも同じ教室で共に学び、育ち合う教育を具現化しました。
三郷市として誰一人取り残さない学校づくりについてと、コミュニティ・スクールなどの推進について、学校教育部長に伺います。
2問目としまして、市内の視覚障害者用信号機の運用について伺います。
視覚障がいのある人たちの町なかの安全については、ホームドアのない駅で転落した、転落しかかった。点字ブロックの上に自転車が止まっていたためぶつかって転んだ。トラックのサイドミラーが顔の高さにあることに気づかず顔面をけがしたなど、視覚障がい者の皆さんが広く社会に訴えたいことはたくさんあると思います。
人間は視覚的な動物であると言われるほど、私たちは外界からの情報の80%以上を視覚から得ていると言われています。目的地まで歩いていくときも、目で周りを見て、目的地までの手がかりを確認し、障害物や車などをよけて安全に歩いていけるのです。
しかし、目の見えない人、見えにくい人が外出する場合、地図を見ることができないため、目的地までのルートの確認や点字ブロックの位置や音など、視覚以外の手段で目印となるランドマークの位置を事前に確認することがなかなか困難です。通勤途中での危険は多く、ホームからの転落事故などのニュースはよく見かけます。
2017年には、通勤先までの移動に慣れるまでの支援を世田谷区独自で行いました。現在の国の同行援護は通勤には使えないためです。
昨年12月29日には、「視覚障害者は『運を天に任せて』横断歩道を渡る 音響信号『99%』のカラクリ」の記事を読みました。音響式信号の稼働が止められている横断歩道で、視覚障がい者は極めて危険な状態にさらされています。政府は公共空間のバリアフリー化を東京オリンピック・パラリンピックのレガシーと位置付け、音響式信号機の設置が必要な横断歩道では、既に目標値の99%が設置済みとしています。
しかし、警察当局へのアンケート調査や当事者の取材で浮かび上がったのは、視覚障がい者が求める安全な歩行環境が整備されているとは言い難い現状です。視覚障がい者のかたは、ラッシュを避けたり、通勤時間が人よりかかるため、朝早く家を出るかたが多くいます。
2018年12月7日、午前4時半頃、東京都豊島区駒込二丁目の幹線道路で、通勤のため最寄り駅のJR山手線駒込駅に向かって横断歩道を渡っていた視覚障がい者のAさんがワゴン車にはねられて死亡しました。現場の音響式信号機は、午前8時から午後7時以外は音が止められていました。
警視庁によりますと、事故当時、歩行者信号は赤でした。住民の苦情で稼働時間が制限されていたとのことです。「現場は電車や車のほうがよっぽどうるさいのに。辛い」と、親族は突然の兄の死を今も受け入れられないと話しています。音が鳴らない横断歩道では、車の走行音や歩行者の靴音、親切な人の声かけが頼り。いずれもない場合は運を天に任せて渡るしかありません。
三郷市内の視覚障害者用付加装置で、青信号時、ピヨピヨ、カッコウなどの音が出るものが5か所設置されています。三郷駅北口では7時から19時まで、新三郷駅の近くでは7時から20時までです。その他の3つも、ほぼ7時から20時以内です。
青信号になる際、「信号が青になりました」と音が出るものが、市内で2か所設置されております。1つは運用時間がやはり7時から20時、三郷二丁目のみずほ銀行がある交差点だけが、唯一24時間対応です。
三郷市に住む視覚障がい者のかたは、余裕を見て通勤するために朝7時前に家を出るととても危険な状態になります。会社の残業や仲間とお酒を飲んで帰宅すると19時、20時を過ぎることもあると思います。その時間帯の無音信号になると、非常に危険な状態になります。市内における音声信号運用時間の見直しについて、市民経済部長に伺います。
以上で1問目を終わります。

○議長(菊名裕議員) 柳瀬勝彦議員の質問に対する答弁を求めます。
魚躬隆夫学校教育部長。
〔魚躬隆夫学校教育部長 登壇〕
P.230 学校教育部長(魚躬隆夫)

○議長(菊名裕議員) 小菅貴治市民経済部長。
〔小菅貴治市民経済部長 登壇〕

◎市民経済部長(小菅貴治) 柳瀬議員の2、まちづくりについて、1、視覚障害者用信号機の運用についてにつきましてお答えいたします。
視覚障害者用信号機につきましては、平成31年3月に警察庁が定めました視覚障害者用付加装置に関する設置・運用指針に基づき、視覚障がいのあるかたの利用頻度が高い施設や駅などの周辺で、視覚障がいのあるかたの需要が見込まれる横断歩道に優先的に設置するとなっております。
市内の設置状況につきましては、吉川警察署に確認いたしましたところ、議員ご指摘のとおり、歩行者用の信号の青時間帯に音を出して横断歩行者に知らせる視覚障害者用付加装置は、三郷駅周辺や新三郷駅周辺などに5基、歩行者用信号の青信号点灯時に「信号が青になりました」と音声で横断歩行者に知らせる音響式歩行者誘導付加装置は、高州二丁目と三郷二丁目に各1基、合計7基が市内に設置されており、音声が発せられる時間帯につきましては、視覚障害者用付加装置は7時または7時30分から19時または20時まで、音響式歩行者誘導付加装置は、三郷二丁目の信号は24時間対応、高州二丁目の信号は7時から20時までの時間が設けられているとのことでした。
そのような中、県内の設置箇所では、設置後、音に対する苦情や近隣住民への配慮などから運用時間を制限しているところもあると伺っております。
市内における音声信号運用時間の見直しにつきましては、高齢者や障がいのあるかたも含め、全ての人が安心して活動できるようにと三郷市交通安全計画に定めておりますとおり、バリアフリー対応型信号機の整備につきまして、関係部署と連携を図り、吉川警察署を通じ、信号の設置管理者でございます埼玉県公安委員会に対しまして要望を行ってまいります。
以上でございます。

○議長(菊名裕議員) 柳瀬勝彦議員。
〔7番 柳瀬勝彦議員 登壇〕
P.232 7番(柳瀬勝彦議員)
P.234 議長(菊名裕議員)

◎市民経済部長(小菅貴治) 再度のご質問にお答えします。
三郷中央駅周辺にも視覚障害者用信号機の設置をということと、音声案内時間の延長ということでございましたが、視覚障害者用信号機の設置につきましては、先ほど答弁させていただきましたが、警察庁が定めます視覚障害者用付加装置に関する設置・運用指針に基づき、埼玉県公安委員会が設置いたしますので、音声時間の延長につきましても吉川警察署を通じまして要望してまいります。
以上でございます。

○議長(菊名裕議員) 以上で柳瀬勝彦議員の質問を終わります。

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